2010年2月28日日曜日

萱草第六 雑連歌(十三)完




2007年05月29日10:50

京都大学附属図書館所蔵 古典籍 宗祇『萱草』(わすれぐさ)

 
 かくれても仏や人をすくふらんのこす御法の末の世のなか

 絵にうつすすがたはかりの仏にてまことの色はおもふにぞある

 法の花はじめは遠くひらけきていつくしみこそ四方にみちぬれ


* * * * * * * *


君をいのる此宮川のゆふはらへ

  神祇の連歌のうちに
 月日やうけむ君がことの葉
雲きゆる天津神路の山はれて

 たちもはなれぬ此法の庭
枯し木もめぐむ日吉の神遍(あたり)

 おひかはれるや住よしの松
神がきに杉の木たかき八幡(やはた)山

 言の葉は我身はなれぬ契にて
たのむ心に住よしの神

 げにあだなりや今はたのまじ
後の世をいのれと神や思ふらん

  釋教の連歌のうちに
 つもれる罪をなににけたまし
貝かねもきかぬ栖に明くれて

 舟よる汀人かへるなり
川めぐり山さしおほふ寺ふりて

 うらやむ人よ身をもあはれめ
住わぶるいほりのうへの嶺の寺

 をろかにきけば法ぞかひなき
我いほもおなじ野寺の松の風

 夕さびしき露のふるみち
人かえるあとに野寺の松をみて


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0091.html



人かえるあとに野寺の松をみて

 草木をさらに仏とぞみる
ふる寺は露のみ玉のかざりにて

 ながらの山のうちかすむころ
たれかその心の月を三井の水

 世をいとふ人のやどりか谷の奥
しきみながるる山の井のすえ

 のこす御法(みのり)の末の世のなか
かくれても仏や人をすくふらん

 まことの色はおもふにぞある
絵にうつすすがたはかりの仏にて

 すむかくれがにいそぐ彼の国
一聲を鳥もすすめよ山の奥

 後の世までもつらかりし人
身をつくし心をくだけ法の道

 いかでかふるき罪をけたまし
我うくる法は一葉の露なれや

 ほるとみえてぞ土はうきたる
法の水ちかづく袖のうるほひて

 心はそらにうかれてぞゆく
鷲の山御法の庭もうつろひて

 いつくしみこそ四方にみちぬれ
法の花はじめは遠くひらけきて


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0092.html
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0093.html







萱草PDF版
□春夏秋冬
http://homepage.mac.com/metrius/wasuregusaall.pdf
□恋雑
http://homepage.mac.com/metrius/wasuregusazou.pdf

萱草古典籍画像
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/kichosearch/src/tani3755.html

0 件のコメント: