2010年2月28日日曜日

萱草第五 恋連歌(十二)完










2007年05月21日09:30


 こころのおもひしのびはてめや
我(わが)うらみいはずばなきになりつべし

  千句の連歌のうちに
 いひあはせても世はさだめなし
あだ人をなかだちさへやうらむらん

 やはらぐるこそこころなりけれ
我にうき人とてなどかうらむらむ

 たが身のうへもただ夢のうち
露の世にうらみをいかが結(むすぶ)らん

  藤沢に侍し会のうちに
 おもひすてぬぞこひはかなしき
つくさばや世々のうらみと成やせん


  ある所の会に
 うらみをながくたれにのこさむ
我おもひこん世にせめてつくさばや

 おもひつつけてねをのみぞなく
あぢきなや世々にしつまむ恋のみち

  一句に百句付侍し連歌の中に
 人のこころのかはる世の中
はかなしやはねをならべし鳥部山


          (恋連歌おわり)

参考文献:
京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』 [v.1, pp.112-113]
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0057.html

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