2010年2月28日日曜日

対岸の彼女

2007年05月22日11:58

『対岸の彼女』角田光代 

ねたばれ:
友達の輪に入れず、はじきだされた女高生ナナコと葵は心中未遂する。葵はのちに旅行斡旋/掃除代行会社を小規模ながら立ち上げる。友達の輪が昔から苦手な小夜子は公園デビューに失敗する。そんな小夜子が葵に雇われた。仕事は他人の汚い台所の掃除。    
     
     華の小夜子はしぐさ静似  春蘭

(パロディ百韻で小夜子を詠んだことがあった(^^))
http://love4tomo.cool.ne.jp/omotyabako/haiku/renku3/0609.html


友達は多い方がいい。みんなと仲良くするのがよい。という残酷な価値観の下で、友達がいない、できないひとは変なやつと他人は見るし、自分自身も見る。友達とはそのときに共通の敵や趣味/話題をもっている人たちの一過性のつながりにすぎないか。敵や趣味が変われば輪も変わる。その中には大事なものがなにもないとナナコに言わせている。

小夜子の仕事は丁寧で気に入られる。葵と小夜子はお互いに同じ匂いを感じる。でも小夜子は葵を恐れて退社する。その後、会社から社員が去って葵が困っていると聞いたとき小夜子は再就職を葵に依頼する。

赤毛のアンとダイアナのように、この先どんなことがあっても永遠に変わらない生涯の友というのは得難いが、小夜子と葵は結構いい友達になりそうだ。

葵は学生の時、東南アジアに一人旅しラオスのビエンチャンにも行く。あとで強盗に変身する現地の男がナナコという日本女性が来たよと言ったが、ほんとうだろうか。同じ匂いのする人は同じような行動をとるのか。

そういえば、私もビエンチャンに同じ匂いのする男と二人旅したことがあった。ベトナム戦争にアメリカが本格介入する直前だ。その名コンビ、無二の親友は今や年賀状だけのつきあいとなってしまった。一緒に飲むとたいてい泥酔し、どうやって別れ家に帰ったか記憶がないありさまとなる。どちらともなく会うのはやめた。私の現在の一押しの本は『孤独であるためのレッスン』だ。(^^;)

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