宗祇こそ俳諧の鼻祖編集する2007年02月20日12:24
宗祇は連歌(有心連歌)を完成させた連歌師とされている。水無瀬三吟*はその最高峰と言われる。庶民出の宗祇は機智頓才の持ち主であり、俳諧(無心連歌:俳諧之連歌)も得意だった。俳諧の始祖は宗鑑、守武とするのが多数説だが、宗祇を俳諧の始祖とする少数説も古今存在する。
貞門から始まる俳諧時代において月の定座=○、花の定座=*が定まった。連歌時代の俳諧においては、定座はないようだ。各折で花一つ、名残裏を除く各面で月一つの合計、四花七月は守られている。
固い感じの俗な熟語が沢山使われていて面白い。参考文献から百韻を写しただけで解釈はできていないw
*水無瀬三吟
http://www.h6.dion.ne.jp/~yukineko/minase.html
参考文献:『宗祇の研究』江藤保定、風間書房、昭和四十二年
宗祇俳諧百韻
(畳字誹諧連歌宗祇独吟百韻 東山御文庫本)
初折表
1 花にほふ梅は無双の梢かな
2 柳の眉目はげに今の時
3月 春の夜はかすみを月の規模として
4 雪の余残をやまにこそみれ
5 いくつらも唯一篇に帰る雁
6 旅の数日のそでぞしらるる
7○ 風待て逗留したる湊舟
8 苫やの雨中おもひこそやれ
初折裏
1 われひとりいかが徒然を慰まん
2 身の述懐をせめてとへかし
3月 月をだに老耄すればしらぬ世に
4 蔓粗略なる秋のあかつき
5 小田もりも退屈したる鹿鳴て
6 人の胡亂をたのむ妻ごひ
7 余所にたれ悋惜すればこざるらん
8 ありし契を違変する中
9○ その頃も寵愛まではなかりしに
10 ただこぬのみか外聞もよし
11花 風あまり狼藉になる花ちりて
12 桜の雪や不慮にふるらん
13* 後の春又参会もしらぬ身に
14 頼む余命は扨も幾ほど
二折表
1 行末もはや匡弱に年たけて
2 日の中をだにしらぬ生涯
3 暮してもいかが勝負の草枕
4 あし纒頭や旅のうかれめ
5 又こと葉率爾ながらも云置て
6 なにとどむれと承引もなし
7 人はなと我を上奏するや覧
8 こなたも故障あたり憂中
9月 むら雲にしばしは月の隠居して
10 涙をさそふ秋かぜは奇恠
11 此ままにあたら朦霧のよもはれじ
12 ?
13*花 花守の枝おらさじと警固して
14 帰るならひの春の周章
二折裏
1 これならで断簡もなき世を捨て
2 隠れてすまば随分のやま
3月 月なにに丁寧してかまたる覧
4 秋の訴訟はさらにうき中
5 かぜここに荻のあるかと披露して
6 その眺望もかはるふる里
7 雪にとふ人は懇意の至りかや
8 みてもなぐさむ文は賞玩
9○ おりふしは等閑なしと思ふまで
10 さてもまことはしらぬ隔心
11 風ならで所見はいかが山ざくら
12 霞の雨ぞ隠密にふる
13* 在明の明鏡ならず朧夜に
14 老のなみだは懈怠こそせね
三折表
1 永き日を活計ながら暮さばや
2 我生前のおもひではなし
3 捨けるに身の進退の極りて
4 やまは究竟のかくれ所ぞ
5月 雪間より月は光陰すを?物を
6 夢の聊爾は秋のならはし
7 露泪そでも大略ぬれ渡り
8 ただ茫然と人ぞまたるる
9 さらに身の休息もせず恋しきに
10 なさけいつより陵夷しぬらん
11 こなたには退転もなく待つるに
12 すは初雪に言語同断
13○ 酒も哉酩酊迄はしらずとも
14 心ありける人の斟酌
三折裏
1 賢はげに慇懃を先にして
2 みだれのなきは今の静謐
3月 所から月も都鄙にや替るらん
4 さも難堪のすまの秋風
5 露ほども利潤おもふに塩焼て
6 すこしの依怙も心こそひけ
7 独すむ身は史幹にも成ぬべし
8 うらやましきはよその売買
9○ 永楽のさしも多を所持もせで
10 げにもろこしの遼遠の国
11花 行てみむ花も名誉の吉野山
12 不相応なる隠れ家の春
13* 長雨に慮外の墨の袖ぬれて
14 うき世心は猶も僻案
名残表
1 月雪のいづれ差別もみえぬよに
2 竹の不審は雪の青葉に
3 松もなき野は平均に草枯て
4 道遠げなる旅の窮屈
5 先とへば心贔屓の宿なるに
6 もとのちぎりの媒介はなし
7 恨にもげには思ひ和睦して
8 しのべば機嫌はかりがたきよ
9 そのあたり徘徊しつつ明す夜に
10 はじめて人の籌策も哉
11月 何事も遵行ほしき月の暮
12 松や紅葉のかげぞ逍遥
13○ むら萩に花旅は今の盛にて
14 わかきほどこそ身に器用なれ
名残裏
1 文字の宿誰も稽古の有べきに
2 きのふけふとて過る光陰
3 遠くてもちかきは富士の奇特にて
4 あら荒涼や武蔵野の原
5花 咲そむる花に際限よもあらじ
6 わすれがたきは春の英雄
7* 今の御代いつの時より超過して
8 冥慮にかなふ人は神妙
天文七冬第一之天於深窓書之
右筆 興栄
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