2010年2月28日日曜日

宗祇こそ俳諧の鼻祖

宗祇こそ俳諧の鼻祖編集する2007年02月20日12:24

宗祇は連歌(有心連歌)を完成させた連歌師とされている。水無瀬三吟*はその最高峰と言われる。庶民出の宗祇は機智頓才の持ち主であり、俳諧(無心連歌:俳諧之連歌)も得意だった。俳諧の始祖は宗鑑、守武とするのが多数説だが、宗祇を俳諧の始祖とする少数説も古今存在する。

貞門から始まる俳諧時代において月の定座=○、花の定座=*が定まった。連歌時代の俳諧においては、定座はないようだ。各折で花一つ、名残裏を除く各面で月一つの合計、四花七月は守られている。

固い感じの俗な熟語が沢山使われていて面白い。参考文献から百韻を写しただけで解釈はできていないw

*水無瀬三吟
http://www.h6.dion.ne.jp/~yukineko/minase.html
参考文献:『宗祇の研究』江藤保定、風間書房、昭和四十二年


宗祇俳諧百韻 
(畳字誹諧連歌宗祇独吟百韻 東山御文庫本)

初折表               
 1  花にほふ梅は無双の梢かな    
 2   柳の眉目はげに今の時     
 3月 春の夜はかすみを月の規模として 
 4   雪の余残をやまにこそみれ   
 5  いくつらも唯一篇に帰る雁    
 6   旅の数日のそでぞしらるる   
 7○ 風待て逗留したる湊舟      
 8   苫やの雨中おもひこそやれ
                     
初折裏
 1  われひとりいかが徒然を慰まん
 2   身の述懐をせめてとへかし
 3月 月をだに老耄すればしらぬ世に 
 4   蔓粗略なる秋のあかつき 
 5  小田もりも退屈したる鹿鳴て
 6   人の胡亂をたのむ妻ごひ
 7  余所にたれ悋惜すればこざるらん 
 8   ありし契を違変する中
 9○ その頃も寵愛まではなかりしに
10   ただこぬのみか外聞もよし
11花 風あまり狼藉になる花ちりて
12   桜の雪や不慮にふるらん
13* 後の春又参会もしらぬ身に
14   頼む余命は扨も幾ほど

二折表              
 1  行末もはや匡弱に年たけて   
 2   日の中をだにしらぬ生涯   
 3  暮してもいかが勝負の草枕   
 4   あし纒頭や旅のうかれめ   
 5  又こと葉率爾ながらも云置て  
 6   なにとどむれと承引もなし  
 7  人はなと我を上奏するや覧   
 8   こなたも故障あたり憂中   
 9月 むら雲にしばしは月の隠居して 
10   涙をさそふ秋かぜは奇恠   
11  此ままにあたら朦霧のよもはれじ
12   ?             
13*花 花守の枝おらさじと警固して  
14   帰るならひの春の周章
    
二折裏
 1  これならで断簡もなき世を捨て
 2   隠れてすまば随分のやま
 3月 月なにに丁寧してかまたる覧
 4   秋の訴訟はさらにうき中
 5  かぜここに荻のあるかと披露して
 6   その眺望もかはるふる里
 7  雪にとふ人は懇意の至りかや
 8   みてもなぐさむ文は賞玩
 9○ おりふしは等閑なしと思ふまで
10   さてもまことはしらぬ隔心
11  風ならで所見はいかが山ざくら
12   霞の雨ぞ隠密にふる
13* 在明の明鏡ならず朧夜に
14   老のなみだは懈怠こそせね

三折表              
 1  永き日を活計ながら暮さばや  
 2   我生前のおもひではなし   
 3  捨けるに身の進退の極りて   
 4   やまは究竟のかくれ所ぞ   
 5月 雪間より月は光陰すを?物を  
 6   夢の聊爾は秋のならはし   
 7  露泪そでも大略ぬれ渡り    
 8   ただ茫然と人ぞまたるる   
 9  さらに身の休息もせず恋しきに 
10   なさけいつより陵夷しぬらん
11  こなたには退転もなく待つるに
12   すは初雪に言語同断    
13○ 酒も哉酩酊迄はしらずとも  
14   心ありける人の斟酌
    
三折裏
 1  賢はげに慇懃を先にして
 2   みだれのなきは今の静謐
 3月 所から月も都鄙にや替るらん
 4   さも難堪のすまの秋風
 5  露ほども利潤おもふに塩焼て
 6   すこしの依怙も心こそひけ
 7  独すむ身は史幹にも成ぬべし
 8   うらやましきはよその売買
 9○ 永楽のさしも多を所持もせで
10   げにもろこしの遼遠の国
11花 行てみむ花も名誉の吉野山
12   不相応なる隠れ家の春
13* 長雨に慮外の墨の袖ぬれて
14   うき世心は猶も僻案

名残表              
 1  月雪のいづれ差別もみえぬよに 
 2   竹の不審は雪の青葉に    
 3  松もなき野は平均に草枯て   
 4   道遠げなる旅の窮屈     
 5  先とへば心贔屓の宿なるに   
 6   もとのちぎりの媒介はなし  
 7  恨にもげには思ひ和睦して   
 8   しのべば機嫌はかりがたきよ 
 9  そのあたり徘徊しつつ明す夜に  
10   はじめて人の籌策も哉       
11月 何事も遵行ほしき月の暮       
12   松や紅葉のかげぞ逍遥             
13○  むら萩に花旅は今の盛にて
14   わかきほどこそ身に器用なれ
                  
名残裏
 1  文字の宿誰も稽古の有べきに
 2   きのふけふとて過る光陰
 3  遠くてもちかきは富士の奇特にて
 4   あら荒涼や武蔵野の原
 5花 咲そむる花に際限よもあらじ
 6   わすれがたきは春の英雄
 7* 今の御代いつの時より超過して
 8   冥慮にかなふ人は神妙

   天文七冬第一之天於深窓書之
         右筆  興栄

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