2010年2月28日日曜日

萱草第六 雑連歌(二)











2007年05月22日13:40

京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』(わすれぐさ)


 けふの日までもおしまれぞする
高野山のこりやよひの花にきて

 軒ばのはやし見るぞ木深き
花ちりし野寺をとへば春くれて

 かかるたよりも旅にこそにあれ
ほととぎす山こえこすはよもきかじ

 とめなば袖のうつり香もあれ
乗駒も水かふ沢のあやめ草

 露はたもとに五月雨の頃
まこもかるよど野のかへさ日は暮て

 見せばやかかる山の下ふし
いる矢をもしらぬ鹿子の哀(命)にて


 すずしき風のすゑのさびしさ
夏の日の夕山がらす嶺こえて

 雲かかる嶺とおもへば風吹て
月をわけ行夕だちの空

 ふく風ふかき松陰のもと
あづさ弓いそべの清水手に汲て

  ある人申侍しにつかはしける連歌のうちに
 法のまなびぞふかきみちなる
水にうく一葉を船のはじめにて

 枕かる野のむらの明ぼの
聲とをきゆふつけ鳥に月おちて

http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0059.html 



 ちはやぶる神を衣にやどしきて
袖さへ秋の月よみのかげ

 こころものべぬ秋の夜の床
なぐさめよ月こそしらめ我むかし

 ほのめく月にわたるの(鹿)の音
ゆきてねむ枕しほるな花すすき

 みだるる露の月ぞかくるる
すすきちるすえのの山に雲引て

 うへなる山に月かかるみゆ
小萩ちる野べのさをじか今朝なきて


 うくつらきかりねの秋をいかがせん
鹿なく山のあかつきのあめ

  独吟の連歌のうちに
 もののふのあらきはなさけすくなくて
八十(やそ)うち河のすゑの秋かぜ

 月ぞはかなく袖にやどれる
  といふ句に
露よりや身をある物と思ふらん

 けふもけふもと年ぞくれぬる
あやめひくたもとに菊を又つみて

 世々のすゑには生(うまれ)ずもがな
身を秋の落葉はたれかひろはまし 


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0060.html 

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