2010年2月25日木曜日

わからないままということ

2006年04月01日20:33

○小説「ソラリスの陽のもとに」スタニスワフ・レム

惑星ソラリスという映画の原作。
惑星ソラリスは発見されて以来六十年、科学的な理解を拒んできた。
プラズマ(原形質)の海があり、ものをそっくり作る擬態能力を持つ
一つの思考体と見られている。新たに派遣されたケルビンは、二十才
で自殺した恋人ハリーにステーション上で出逢う。これはソラリスが
ケルビンの思考/夢/記憶/潜在意識を読み取って創り出したもの。

ケルビンはそれを理解しているが、いつしか一緒に地球に帰って二人
で幸せに暮らしたいと思うようになる。ハリーもそう思うが決してか
なわないことと、別の研究員に自分を消してもらう。でもケルビンは
ハリーがまた物質化されて戻ってくると望みを持っている。ソラリス
は一体何者なのか、わからないまま話は終わる。

スタニスワフ・レムは、宇宙には科学的な理解ではわからないものが
存在していることを人類に知ってほしくてこの小説を書いたとあとが
きで述べている。


○映画「雲のむこう、約束の場所」新海誠

最近、小説化されたらしい。
日本が北海道と本州以南と分割された後、南北で紛争をしているとい
う設定。北には恐ろしい光の塔がある。これは周囲の空間を裏返して
自分の世界に取り込む能力がある。この自他の世界を平行世界と呼ん
でいる。

少女サユリと少年ヒロキとタクヤは、その光の塔に自作飛行機ができ
たら飛んで行こうと約束する。しかし、サユリは、原因不明の睡眠状
態に入る。南の科学者たちはこのままだと北の光の塔(最終兵器)が
最大限に能力を発揮し南の世界が飲み込まれてしまうと危惧する。

ヒロキはタクヤに協力を求め、サユリを探し出し、サユリを眠りから
覚ますため、自作飛行機で約束の場所に向かう。サユリは、眠りから
目覚めるが、光の塔の能力が最大限になる。そのときミサイルが飛行
機から発射され、北の光の塔は爆破される。

サユリと光の塔の関係がよくわからない。サユリのおじいさんが塔の
設計者で、もともと南のひとだったので、塔にしかけ(サユリの夢を
読み取る)をし、サユリが眠って夢を見ている間は、塔の最大出力が
出ないようにガードをかけていたのか?

わかること、わかるものが良く、わからないこと、わからないものは
悪いという常識的な価値観を考えさせられた。わからないままという
のも印象に残りいいのかも知れない。

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