2006年04月05日21:55
浮舟の寄る辺ふたつはなきものを
薫る匂ひにまどひ乱るる 春蘭
まめ人の薫とすき人の匂宮。ふたりの愛に、なすがままに身を処してきた浮舟もついに限界の時を迎える。浮舟は、死のうとするが、僧に助けられ尼となる。浮舟は死んだものと悲嘆に暮れていた薫は、うわさを聞いて驚き、浮舟とおぼしき尼の住む小野に、浮舟の弟小君を使いに出す。返事ももらえずむなしく帰ってきた小君を見て薫は思案に暮れる。
源氏物語の最後の十帖は、宇治十帖と呼ばれ薫を主人公とした独立の物語ととらえることもできる。そのうちのラスト五帖は、ヒロインの浮舟と薫、匂宮の愛と生死の修羅場であり特に印象に残った。
三島由紀夫の豊饒の海、春の雪あたりを彷彿とさせる。源氏物語の素晴らしい構成と心理描写、情景描写は、豊饒の海にも影響を与えているのではないかと思われる。
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