2007年01月06日20:06
歳旦
ゆたかなる黒川湧水淑気満つ
羽根つく音に子等の歓声
新しい道具うれしくもどかしい 智
若水を汲めばしたたる小袖かな
真白まばゆく光る初冨士
岡野辺を七草摘みにつたひきて 春蘭
初懐紙言の葉みどりつんつんと 面白
片頬に初日を受けて塑像の街 木槿
初泣きや渾身の四肢宙を蹴る ゆうゆ
初夢に梅便り待つ心地かな 草栞
遥かなる誓ひを照らす初日かな 草栞
十八公『初泣きや』の巻
首 2007年1月3日
尾 2007年1月6日
1 初泣きや渾身の四肢宙を蹴る 遊
2 祝の膳に添える年玉 智
3 月花をこころのうちに酒酌みて 春蘭
4 父の愛せし詩吟をひとつ 面白
5 縁側の長々として日の光 木槿
6 終りなき世に沙羅の花咲く 草栞
7 来ぬひとよ麦秋焦げてしまいそう 遊
8 げに恐ろしき体重計 智
9 灰かぶり姫に悋気の姉のゐて 槿
10 選ぶに困るほどの秋服 蘭
ウ
11 夜会果て紅差し直す月明かり 栞
12 円錐形に並ぶ新藁 智
13 女形する古老の品の色っぽさ 蘭
14 目立たぬやうなマニキュアをする 遊
15 厄年の女は鱗の伊達巻と 白
16 後姿もきりりと決めて 栞
17 ごらんあれ梯子も纏も江戸の花 白
18 若菜摘む野は晴れて大空 槿
遊 三 智 三
春蘭 三 面白 三
木槿 三 草栞 三
捌き 智
十八公『遥かなる誓』の巻(出勝)
首 2007年1月3日
尾 2007年1月6日
1 遥かなる誓ひを照らす初日かな 草栞
2 雑煮の餅のかずをきく妻 春蘭
3 とりまきの種より小さき芽の出でて 面白
4 橡の実生は大木になり 遊
5 杖引いて故郷屋敷荒るるなく 木槿
6 こだま返しに郭公の声 栞
7 夏霧のわれをあやしくする森に 蘭
8 ワルツ流れて一歩踏みいる 白
9 思い切り青きドナウに身をゆだね 遊
10 瞼を閉じて秋気吸い込む 栞
ウ
11 懸想するこころを月に打ち明けて 蘭
12 みだれる手事「唐砧」かも 白
13 飛びながら連理の蝶の離れざる 遊
14 君転校生となりてゆく朝 槿
15 襟ボタン姫鏡台にいまもなほ 白
16 開く時待つ棚のアルバム 栞
17 花咲いて合格メールの笑い顔 遊
18 わさび田青く跳ねる若鮎 蘭
捌き 智
注:十八公(じはっこう)とは、松の字をばらし
たもので、松の内に十八句、連句を巻くもの。
写真の提供は
Photo by (c)Tomo.Yun
ゆんフリー写真素材集: http://www.yunphoto.net
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