2006年05月14日10:48
麋塒宛杉風書簡
翁、近年申し候は、。。。『前句へ付け候こと、今日初めて俳諧仕り候ものも付け申し候へば、かならず前句へ付くべからず。随分はなれても付くものなり。付け様は、前句へ糸ほどの縁を取りて付けべし。前句へ並べて句聞へ候へば、よし』
芭蕉は、深川の芭蕉庵を焼け出されて、甲斐谷村藩国家老高山麋塒(びじ)の招きで、谷村に寄寓する。その麋塒に宛てた杉風(さんぷう)の書簡の中に、蕉門俳諧の付け方が芭蕉の言葉として載っている。
はじめて俳諧する人も付けるので、必ず、前句に直接つけることをしてはいけない。前句と随分と離れたと思っても付いているものである。糸ほどの縁で前句と付くようにせよ。そして、前句と付句を並べてみて意味が通ればよしとする。という位の意味。
最近、二句の転じとか不即不離とも言われるようだ。
去来抄に『蕉門の付句は、前句の情を引き来るを嫌ふ。』という記述があるがそれと同じ趣旨と思われる。芭蕉は、教えを説く相手の機根に応じて言葉を選んでいると言われる。これは釈迦と同じだ。方便で説いたものを究極の教えと吹聴する門弟も居たかも知れない。
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