2010年2月25日木曜日

好色一代男を読む

2006年05月14日17:32

好色一代男は、源氏物語のパロディだとか、俳諧(連句)的な連想法を小説に応用したのだという人がいる。本当か確かめるため、読まず嫌いの分野だった好色ものに初挑戦。

大金持ちで好き者の父夢介と遊女との間に生まれた世之介。7才でこの道に入り、60才まで、3742人の女性、725人の男性と知り合ったという。19の時あまりにひどいので出家させられるがすぐ逃げ、勘当の身。世の中の底辺を生きながらえる。34才のとき、父が亡くなり、勘当は解け、家に迎えられる。

変転きわまりない出来事が簡単な記述で次々と綴られるところは、連想たくましい連句そのものだ。

あろうことか、母は、おまえの好きなことに、好きなだけお金を使っていいよという。ではということで60才まで京都、大阪、江戸を中心に遊郭でお大臣遊び。時めいている遊女をそうなめの感。

中に、夕霧、薫という太夫も出てくる。明らかに源氏物語を意識したパロディ。世之介自身の変化はほとんどなく、遊女が次々と変わる。遊女と趣向をこらして遊んでいる間に、いつの間にか60才になってしまう。

最後は長崎に行き異国の文化に目覚め、伊豆から船を仕立てて異国ー女護の島に向かい、行き方知れずとなる。これで完。

因果応報とか勧善懲悪とかの教訓めいたものは一切ない。前半の勘当や世の底辺での生活はあえて言えば因果応報か。後半はそれを払拭するほどの馬鹿らしい豪遊の列挙と女護の島行き。あきれた笑いが自分の顔にうっすら涌いてくるのを感じる(^^)

西鶴は、自分の才覚の限りを尽くした俳諧は世に評価されず、愛妻が亡くなって捨て鉢になっていたのだろうか。それとも糊口のため?

■好色一代男 井原西鶴 松田修校注 新潮日本古典集成

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