2010年2月25日木曜日

源氏物語を原文で読む

2006年02月25日14:54

前に与謝野晶子の現代語訳を読んだことがある。それで、源氏物語
を読んだつもりをしていた。

多くの人が現代語訳にトライしている。与謝野晶子訳はいい方だと
いう声がある。しかし、与謝野晶子訳は意訳がすごく理解はしやす
いが原文から離れ気味のところもあるともいう。翻訳は意訳だとい
う説も根強いが、意訳しすぎると創作に近くなる虞もある。

現代語訳から見て原文とは、筆と墨で書かれた古典籍そのものと、
それを解読・翻刻し註釈を加えたもの両方を指すだろう。古典籍か
ら翻刻し註釈をするのは専門家に任せるとして、せめて、翻刻註釈
本を読んでこそ、ある古典を読んだと言えるのではないかと考えた。

ためしに桐壺の部分を翻刻註釈本で読んで見た。註釈が非常に少な
い本なので、古語辞典もフル稼働である。その後に、与謝野晶子訳
を読んだ。案の定、前者で受けた震えるような印象は後者からは全
然得られなかった。古典は古文(原文)で読んでこそ意味があると思った。

しかしあと五十三帖、古語辞典と仲良くしなければならない(^^;)


●古典籍
いづれの御時にか女御更衣あまた
さぶらひ給けるなかにいとやむごとな
ききはにはあらぬがすぐれてとき
めき給ふありけりはじめよりわれは
とおもひあがり給へる御かたがためざましき
ものにをとしめそねみ給おなじほどそれ
より下らうの更衣たちはましてやす
からずあさゆふのみやつかへにつけても人
の心をうごかしうらみをおふつもり
にやありけむいとあつしくなりゆき物

京都大学附属図書館所蔵 貴重書(中院文庫) 『源氏物語』
http://ddb.libnet.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/genji/image/gm01/Gm01b003.htm


●翻刻(句読点、段落、漢字化、仮名化、註釈)
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるなかに、
いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方がた、めざましきものに
おとしめ嫉みたまふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、まし
てやすからず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨
みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/

●現代語訳(与謝野晶子)
どの帝の御代であったか、女御や更衣が大勢お仕えなさっていたな
かに、たいして高貴な身分ではない方で、きわだって御寵愛をあつ
めていらっしゃる方があった。

最初から自分こそはと気位い高くいらっしゃった女御方は、不愉快
な者だと見くだしたり嫉んだりなさる。同じ程度の更衣や、その方
より下の更衣たちは、いっそう心穏やかでない。朝晩のお側仕えに
つけても、他の妃方の気持ちを不愉快ばかりにさせ、嫉妬を受ける
ことが積もり積もったせいであろうか、とても病気がちになってゆ
き、何となく
http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/

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